守備範囲を大きく広げる社会保険労務士の業務

社会保険労務士は、企業の人事問題や労務問題に関する業務を独占的に代行でき、その解決をバランスよく図ることのできる国家資格者であり、今日の会社にとって必要不可欠な存在となっています。社労士の仕事

何故なら、アベノミックスによっても、景気回復が実感できない中小企業の事業主も多く、契約社員や契約社員といったいわゆる非正規雇用社員の間に労働トラブルが頻繁に発生しているのが現状だからです。

企業業績が悪化した場合に、経営者がまず検討するのが、雇用やその人件費の問題かと思います。解雇にまでは至らなくても、ワークシェアリングに伴う賃金減少や労働条件の悪化等の問題も生ずる恐れがあります。
しかし、このような経営悪化を単に労働者に負担を転嫁することだけでは回避できるものではありません。法的に根拠がなかったり、就労契約に反した会社側のしょち措置は、労働トラブルの原因となり、訴訟やADE(裁判外紛争解決手続き)によっても、事業者側の責任が認められるでしょう。
そこで、社会保保険や年金問題、労働問題や、その根拠法、政令、また判例に詳しい専門家である社会保険労務士の業務が注目されているのです。

現在、いわゆる「士業」と呼ばれる者の業務領域の拡大と業際化が進んでいます。この傾向は、社会保険労務士の業務を大きく拡大させる、歓迎すべき動きと言えますが、その分、かつての業務範囲を超えた世界の知識や経験が求められるので、日々の研鑽と新たな業務分野に身を置く勇気が必要です。
あくまで、従来の基本業務を前提としての話ですが、この精神的で実務的な壁を乗り越えてこそ、社労士として成功したと言えるのではないかと思います。

個別労務紛争を解決するADR

2009年のリーマンショック以来、非正規雇用関係を中心とした、労使トラブル問題が良くいマスコミで報じられています。給料の不払いや不当な長時間最近労働問題、雇用止めが頻繁に起こっています。
これらの企業を「ブラック企業」と称して糾弾する動きさえ出ています。裁判に訴えることもあります。

ただ、このような個別労働関係の紛争は、裁判だけが解決方法ではありません。裁判では、迅速簡潔にこのような問題を解決することはあまり期待できません。思った以上の時間と労力、また費用もかかってしまいます。
そこで、裁判以外で紛争を解決する制度が誕生しました。それが「ADR」(裁判外紛争解決手続き)と言う制度です。ADRは、当事者間の話し合いで紛争を解決する制度で、斡旋、仲裁、調停等を行って、労働問題を解決します。
このADR法に基づく法務大臣の認証と法に基づく研修を修了し、厚生労働大臣の指定を受けた社会保険労務士が話し合いの代理人となって、紛争の解決に携わることができるのです。

社会保険労務士が代理人となる労働紛争に関するADRは、まだそれほど多くの事例で成功している情況とは言えませんが、労働問題を時間とお金をなるべき抑えて、当事者が納得行く形で納めることはとても意義あることなので、今後、この分野を専門とする社会保険労務士も多く誕生することが考えられます。

人事や企業労務に関するアドバイス・コンサルティング業務

法が規定する社会保険労務士の業務には、いわゆる1号、2号と言う独占業務の他に、3号業務と呼ばれる業務があります。

この3号業務は、「コンサルティング業務」です。
社会保険労務士の仕事は、事業主の労務問題や各種届出等のアウトソーシング的存在ですが、人事問題や労務問題は定型化することのできない問題であり、事業者の悩みの種と言えます。
そこで、これらの業務について、事業者の相談やアドバイスを依頼されることが近年増加しています。また、長引く不況が原因で、賃金カットや人員削減問題にも事業者は直面している場合が多いと言えます。

3号業務は、1.2号業務のような定型化できないので、社会保険労務士の個人的な実力が発揮できる分野と言えます。
何故なら、定型化された手続きであれば、ある程度数をこなせば難なく書類の作成も提出手続きも可能ですが、3号業務のコンサルタント業務は、顧客である企業の経営状況や経営体質を深く理解していることが求められるからです。
また、近年は従来型の年功序列型賃金体制が変革期にあり、より従業員のモチベーションを上げ、各従業員の間に不公平感がないように工夫された職務体制や賃金体制のコンサルティングを行わなければなりません。確定拠出年金や退職後に備える資産設計業務のアドバイスも必要になります。
さらに近年、定年年齢の引き上げが検討される会社も多いのですが、定年が延びれば、その分雇用数は拡大し、退職金も従来の規定では対応できなくなる可能性があります。

このように、社会保険や労働問題は、日本の財政や人口問題とも絡む大きな問題と密接・不可分に結び付いています。
そこで、これからの社会保険労務士は、これらの大きな問題を念頭に、大局的な観点から業務を行う事が求められ、またそうすることで、業務の成功につながると考えられます。

勤務社会保険労務士の仕事内容

社労士には、独立開業して業務を行う1.「開業社会保険労務士」と呼ばれる者と特定の企業に雇用されながらその企業の社会保険事務等を専属して行う2.「勤務社会保険労務士」の2つのタイプがあります。
また、2.は、一般企業に属して業務を行う者と開業社労士事務所に就職して業務を行う者に分かれます。

開業事務所で働く者の業務内容は、各クライアント企業方依頼された労働社会保険や雇用等に関する手続きの代行やそれらのコンサルティング業務を行います。
また、一般企業に勤務する者は、「企業内社会保険労務士」とも呼ばれ、会社の総務部や人事部が担当する労働保険事務や人事・雇用等に関する多様な届出等の手続きや書類の作成業務を行います。

勤務社会保険労務士のメリットは、社会保険や雇用といった複雑で法的専門知識を有することで、他の社員や上司等から一目置かれる存在になれるという点が挙げられます。何故なら、近年、雇用問題や労働条件等で様々な問題が生じやすい環境になっていると言えますが、これらの問題について、専門的で法律を根拠とした客観的で公平なアドバイスを行えるからです。
また、実務経験を給料を貰いながら積める事や、その業務を通して人脈を得られることも大きなメリットと言えます。

開業社会保険労務士の仕事内容

社会保険労務士の数は、全国で3万人以上いますが、そのうちの3分の2が会社等に勤務しないで独立して事務所を構える「開業社会保険労務士」と呼ばれる社労士です

独立開業者は、クライアントである顧問先企業の各種手続きやその書類作成、人事・労務管理面のアドバイスやコンサルティング業務を行います。
このため、独立開業社労士は、安定した収入を得るため、ある程度の数の企業と顧問契約を締結することが求められます。

社会保険労務士のクライアント企業は、多くの場合、中小零細企業です。
何故なら、中小企業では、本業部門に大部分の人員と資金を投入する必要に迫られるので、このような管理部門を厚くする余裕がないからです。企業内に、労働保険問題や人事・労務問題の専門家を雇用するより、このような問題の専門家に依頼する方が、経費を節約できます。
また、複雑化した労働問題やそれに伴う法改正等が頻繁に行われる現代で、就業規則に対して知識のない経営者が作成した場合は、労働基準法の趣旨に反したり、ひどい場合は、基本人権といった憲法に抵触することさえ考えられます。
また、経営者がこれらの問題を理解していても、就業規則を初めから作成するにはたくさんの時間がかかってしまいます。

この点、労働に関する専門家である社会保険労務士に依頼すれば、効率的で理にかなった就業規則を作成できます。以上のような理由から、経営者は開業社会保険労務士に業務をアウトソーシングしているのです。

社会保険労務士の2号業務(帳簿書類の作成)

社会保険労務士法が定める社会保険労務士の業務には、2号業務と呼ばれる「帳簿書類の作成」業務があります。この業務も独占業務です。
法律上の規定は、「保険諸法令に基づく帳簿書類作成」とありますが、具体的には、労働者名簿、賃金台帳、就業規則、労使協定書等の作成業務です。

労働者名簿はその名の通り労働者の個人情報を記載した名簿で、各労働者の住所、氏名、入社日、退社日が記載されています。尚、この名簿は、変更があった場合は修正義務があり、従業員の退社後3年間保存する必要があります。

賃金台帳とは、給与や賞与等の支払いの際に一定事項を記載するもので、賃金の計算期間や就労日数、労働時間等の記載が必要です。この台帳は、保険料徴収の基礎資料になるので、常に変更があれば修正する必要があります。

就業規則とは、文字通り当該会社の規則を定めたもので、労働条件や服装に関する規則まで、その会社の従業員として働くための労使双方のルールを定めた文書です。
就業規則には、始業開始期間や休息時間、休日規定、賃金等の具体的ルールが記載されています。
就業規則は、パートタイマーやアルバイトを含む常時10人以上の従業員を雇用する事業者は必ず作成しておく必要があります。この就業規則を労働基準監督所に提出することで効力が発生します。

以上に挙げたように、社会保険労務士の業務は、事業者・労働者双方の生活や経営に直接結び付く非常に重要な業務を行うものです。この重要性に鑑みて、社会保険労務士は、資格取得後も十分な研鑽が求められ、その結果、事務所の業務拡大にも結び付くと考えられます。

社会保険労務士の1号業務その2

社会保険労務士の1号業務「書類提出代行業務」には、各種保険給付に関する手続き代行業務があります。
例えば労災保険の例では、従業員が就業中にケガを負った場合は、労災保険から給付金が支給されます。また、このケガで入院や治療を受けた場合は、治療費が支払われますが、この治療費の申請は、少し専門的で回りくどい言い方ですが、「療養補償給付たる療養の給付請求書」を提出する必要があります。更に、就業中のけがや病気で会社を休まなければならなくなった場合は、その間の生活保障として、規則で定められたある一定のお金が給付されます。
この場合も「休業補償給付支給請求書」と呼ばれる書類を提出しなければなりません。
このような手続き書類の作成・提出代行も社会保険労務士の重要な仕事です。

社会保険労務士の1号業務の最後に挙げられるのは、提出した書類内容のメンテナンスとも言うべき業務です。会社や従業員の状態は変化するので常に、定期的な手続きの変更や新たな手続きが必要になります。
例えば、社会保険の保険料の算定では、従業員に支払われた給与や賞与を基準に算定するため、「被保険者報酬月額算定基礎届」や「被保険者賞与支払届」といった保険料算定資料を提出する必要があります。
社会保険労務士の仕事は、この他にも、労働基準監督局に関する書類提出や職業安定所に対するものまで、非常に多くの業務をカバーしています。これらに関する書類は増加傾向にあるので、その分、その業務範囲も今後拡大して行くことになると思われます。

社会保険労務士の1号業務(提出書類手続き代行業務)その1

社会保険労務士の業務には、1号業務と呼ばれる法定業務があります。これは、「提出書類の手続代行」業務です。
この代行業務は、大きく分けて3つの業務に分けることが出来ます。

まずその1つ目が、会社の設立に伴う書類の提出業務です。
会社設立に際して事業主は、労災保険や雇用保険といった労働保険や健康保険や厚生年金保険の申請義務がありますが、この提出書類の提出を社会保険労務士が代行して主務官庁に提出します。

労働保険の加入方法は、先ず、厚生労働省に「労働保険、保険関係成立書」の提出を行い、次に、「労働保険概算保険料申請書」に従って労働保険料の具体的な算定額を算出します。
この保険料算出は、当該年度の労働者の賃金見込み額を基準に算出し、算出方法は、厚労省のホームページ等にも掲載されていますが、この額は、あくまでも見込み額であり、年度末に実際に支払われた賃金を基準に再算出して精算する必要があります。
このように一口に労働保険申請と言っても面倒で複雑な手続きを必要とするので、これを適切に代行出来ることが重要です。

さらに、事業主は、従業員の入社や退職に必要な書類の作成義務があります。
従業員の入社に際しては、労働保険や社会保険の被資格者となるための資格取得届を提出する必要があり、これは、従業員の家族に対する被扶養届も要ります。
また、従業員の退社に際しては、資格喪失届を提出する必要もあります。
社会保険労務士は、これらの専門的で煩雑な業務を行い、手続きの効率化や迅速化を行って、事業主の負担を軽減する業務を行っています。

社会保険労務士業を支える3本の柱

社会保険労務士の仕事は、3本の柱で支えられています。
その3本とは、1.「提出書類の手続き代行」2.「帳簿書類の作成事務」3.雇用問題や労働社会保険等のコンサルティング業務」です。

このうち、1.の「提出書類の手続代行」は1号業務と呼ばれ、2.の「帳簿書類の作成事務」は2号業務と呼ばれています。
以上2つの業務が独占業務で、本人に代行して業務を行う事ができ、他の士業者が行えば、罰則を科せられる場合もあります。

1.の「提出書類の手続代行」を具体的に言うと、労働社会保険所法令に関する申請書や
出書の作成を行う事であり、また、2.の「帳簿書類の作成事務」は、労働基準法等の定めに従って、作成義務のある労働者名簿や賃金台帳などの書類を作成することです。
さらに、3.の「コンサルティング」業務は、労働社会保険や雇用、労務関係に関する相談を受けたり、それらの問題解決へのアドバイスを行う業務です。

この他にも、社会保険労務士の仕事は大きく広がっています。
例えば、給与計算や年末調整業務を行う事もあります。給与計算や年末調整は、労働保険や社会保険料と密接にリンクしているので、労働社会保険所法令等の専門的な知識がなくてはなりません。

さらに、社会保険労務士が本人に代行して行う事の出来る業務に、各種助成金の申請があります。
雇用の安定を重要視して、各地方公共団体や国は多くの失業予防や雇用拡大を促す助成金を設けていますが、社会保険労務士は、これらの適用要件等を深く理解し、企業経営者に情報提供したり、実際に助成金を受け取る書類の作成手続きを行います。
具体的な助成金には、「雇用調整助成金」や非正規労働者と正規労働者の格差を緩和するための「パートタイマー均衡待遇推進助成金」等があります。

注目を集める社会保険労務士の仕事

社会保険労務士は、厚生労働省管轄の国家資格者で、業務の中心は、「労働社会保険に関する事務手続きの代行」と法律に規定されています。
この業務は、試験に合格して登録した者以外の者は行えない独占業務なので、社会的な信頼が高く、その分責任も大きな業務と言えます。

国家資格者のみが行える独占業務は、行政書士や司法書士、税理士等様々ですが、社労士の仕事は、労働社会保険や人事・労務管理に関する書類の作成やその提出、また、これら
業務に関するコンサルティング業務です。ゆりかごから墓場までと言う言葉がありすが、社労士の仕事は、入社から退社までの労務管理に関する一の手続きやトラブルについての良きアドバイザーとも言えます。
リーマンショック後の雇用契約解除や派遣社員問題等が良くとり沙汰される現代では、この業務は社会的に大きな存在価値を有するに至っています。

また、急速な高齢化と国の債務問題に端を発する年金についての不安についても、年金記録の確認業務や年金請求といった業務にも、社会保険労務士の権限と知識は欠くことができません。

現在の日本が抱える、労働者や一般市民の生活不安を解消する役目として、社会保険労務士の業務範囲は拡大しており、また、その信頼もかつてないほど一般市民の間に広がりを見せています。
このようは社会情勢の下で、この資格取得を目指す受験生も増加しています。
社会保険労務士の通信教育を比較